産休か退職どっちが得?条件や手当、メリット・デメリットを解説

産休か退職どっちが得?条件や手当、メリット・デメリットを解説

働く妊婦さんの多くは、「産休を取得して復職するか」「妊娠・出産を機に退職するか」について考えるタイミングがあると思います。出産後、育児をしながら仕事復帰するのはとても大変なことです。しかし、退職をして育児に専念するのは経済的に難しいのが現状です。

仕事を続けて産休をとることや退職することにも、それぞれメリット・デメリットがあります。産後の手当てや必要な手続きなどそれぞれの違いを理解し、自分の場合はどちらを選ぶべきかを十分に検討しましょう。

産休か?退職か?そのメリット・デメリットとは!

産休取得と退職、それぞれメリット・デメリットがありますが、それはとらえ方によって大きく異なります。子どもと一緒にいる時間や生活費の確保、自分のキャリアプランなど、何を優先するかによって、産休や退職に対する考え方や印象も変わるでしょう。

産休の取得や退職について悩む妊婦さんは少なくありません。後悔しないよう、自分で優先したいことを検討してみてください。

では、産休、退職のそれぞれのメリット・デメリットを見ていきましょう。

産休のメリット

  • 出産直後の育児や母体の身体的な負担が減る
  • パパが育児へ積極的になり精神的な負担が減る
  • お金や再就職の心配をしなくて済む

産休のデメリット

  • 会社によっては育休・産休の申し出をしにくい
  • 産休明けに仕事に復帰することへの不安

退職のメリット

  • 子どもの成長をじっくりとそばで見守ることができる
  • パパに負担をかけることなく、育児・家事をすることができる

退職のデメリット

  • 経済的負担(産休・育休を取らないことで、出産手当金や育児休業給付金の給付を受けられないため)
  • 仕事復帰をしたくなった場合には育児をしながら就職活動が必要
  • 待機児童が多い地域では保育園や幼稚園に入れにくい

産休中に退職すると手当などはどうなるの?制度は?

産休前に退職しなければ、産休は、出産予定日の6週間前(双子以上なら14週間前)と出産後の8週間、労働している女性であれば雇用形態や勤務期間に関係なく取得することができます。

有給休暇や会社の規定による休暇を使用した場合、もう少し長めに休むことができる場合もあります。

退職金(退職手当)

退職金は、退職すれば必ずもらえるお金ではありません。会社の就業規則に定められている場合のみ退職金は支払われます。会社の就業規則を確認しましょう。

ただし、退職金の規定は会社によって異なり、勤続年数などの条件などをクリアしないと支払われない場合もあります。なお、産休を取得する場合には、休業扱いとなるため、退職金はもらえません。

出産育児一時金・家族出産育児一時金

出産育児一時金は、出産費用の負担軽減を目的とした制度です。産休の場合でも退職の場合でも健康保険もしくは国民健康保険に妊婦さん自身が加入していればもらえるお金です。

夫の扶養として、いずれかの保険に加入している妊婦さんも給付対象になります。また、被保険者もしくは被扶養者が出産したとき、1児に対して42万円支給されます。

退職した場合、資格喪失日前(退職日)1年間に3か月以上、また3年間に1年以上、強制加入者(20歳以上)であれば、資格喪失後6か月以内の出産に対して支給されます。

退職後、夫の扶養に入った場合は出産育児一時金か家族出産育児一時金を選択することができます。

出産手当金

出産手当金とは、働く妊婦さんが産休で休んでいる間の手当です。

期間としては、出産の日以前の42日(多児妊娠の場合98日)から出産の翌日から56日目までの範囲で、仕事を休んだ期間を対象として支給されます。出産日は出産の日以前の期間に含まれます。出産予定日よりも早くなった場合、その期間が短く計算され、遅れた場合は遅れた日数も計算されます。

あかめ
産休は、妊娠週数で言うと妊娠34週0日からではなくて、34週1日から開始する点に注意しましょう。

しかし、出産手当金を受け取るには一定条件をクリアしている必要があります。

条件①産休中に会社の社会保険に加入していること

条件②産休期間中に給与の支払いを受けなかった場合

条件③夫の扶養として健康保険もしくは国民健康保険に入っていないこと

 

また、出産手当金を給付期間中に退職した場合でも、条件を満たしていれば申請することができます。

条件は2つあり、退職日までに1年以上の被保険者期間であること、資格喪失時(退職日の翌日)に出産手当を受けているか、または、受ける条件を満たしているかになります。加入している健康保険組合に問い合わせましょう。

産休後に退職すると手当はどうなるの?制度は?

産後8週間を経て退職した場合、1番のデメリットは育児休業を取得できないことです。しかし、育休も条件を満たしていなければ取得することはできません。

条件を満たしていない場合は、退職してもデメリットはほとんどありません。

育休の取得について

育休は、原則として1歳に満たない子どもを養育するための休業で、条件を満たしている男女の労働者に与えられる権利です。無期契約労働者の場合の取得の有無については、労使協定により対象外になる場合がありますので、注意が必要です。

条件としては、入社1年未満、1週間の労働日数が2日以下などが該当します。この場合、会社が育休取得を許可しても給付金が支給されることとは別ですので確認しましょう。

また、パートやアルバイト、契約社員などの有期契約労働者の場合は、入社が1年以上で子どもが1歳6か月まで労働契約が満了しない、もしくは更新されることが条件となります。

これらの条件に当てはまらない場合は、育休を取得することができませんので、産休期間終了後、退職してもデメリットはありません。しかし、条件を満たしている場合であれば育休期間中は、出勤したとみなされますので、復職後の有給取得等に影響することはないでしょう。

育児休業給付金

雇用保険に加入していて、復職の予定がある人が「育休中」にもらえるお金です。ただし、育休は、勤続年数などの条件を満たさなければ取得できません。ですから、育休を取得できない場合には、育児休業給付金も支給されません。

育休前に退職している、もしくは育休に入る段階で退職が決まっている場合にも給付は行われません。

また、育休取得の条件を満たしている場合は育休を取得することができ、さらに育休開始日前の2年間で基本給が支給された日数(賃金支払基礎日数)が11日以上ある月が12か月以上の場合、かつ復職するという前提で給付金を受給することができます。

この条件は有期雇用労働者、男女問わず条件は同じです。

これらの条件を満たしていない場合は、有給を取得することができても給付金を受け取ることはできません。

また、産休後、育休を取得し、給付金受給中に退職した場合、育休開始時点で退職予定であることを除き、退職後は支給対象外となりますが、それまでに受給した給付金を返金する必要はありません。

失業保険(失業手当・失業給付)

さまざまな理由により、退職した人に対する手当です。一定の条件を満たし、再就職の意思があることが受給条件です。

産休中の人は失業していないため、給付対象にはなりません。そのため、産休終了後、育休を取得することなく退職した方で、子どもを預ける場所が決定し、いつでも就職できる状態にある場合は、手当を受ける条件に当たるといえます。

また、すぐに就職できない妊婦さんやママは別途必要な手続きがあるので注意しましょう。

出産して退職するなら産休中?産休後?

産休中や産休後に退職した場合は、基本的に経済面でのデメリットが大きいでしょう。

産休中に退職した場合、条件を満たしていれば出産手当金は受給されますが、育休の給付金は育休開始時に退職予定である場合は受給することができないので、出産をして退職を考えているのであれば、産休終了後、育休開始前がよいでしょう。

ただし、後は会社への配慮と社会人としてのモラルに関係してくるのではないでしょうか。

産休や育休をとることで会社の負担が増える?

産休や育休をとることで会社の負担が増えると思っていませんか?

会社の人員が少なくなることで負担が増えることはあるかもしれません。ですが、育児休業給付金は国から支払われるものであり、産休や育休の社員は社会保険料が免除となっていますので、会社にとって金銭的な負担はありません。会社によっては助成金がでるので得と考えるケースも多くなっています。

「会社に迷惑かかるから育休はとりにくい」という人は上記を踏まえてから、会社と相談するようにしてみましょう。

育休は国民の権利なので、子どもの育成を第一に考えるのであれば、経済面や体力面を考慮して産休や育休をきちんととることをおすすめします。

自分が描く将来のための選択

働く妊婦さんの多くは、産休を取得して仕事を続けるべきか、退職するべきかを一度は考えることでしょう。

産休を取得する場合も退職する場合も、その後の生活に大きな変化をもたらす決断になります。産休も退職も、金銭面や生活面でメリット・デメリットがあります。

まずは、ご自分の仕事や子育てに関する希望や理想、それぞれの場合の心配事などを考えてみましょう。そして、自分が思い描いている将来のためにどちらを選択すべきかを検討してみてください。

育児休業給付金の受給条件は?いつまで?制度の基礎知識を知ろう

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2018年9月7日

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ABOUTこの記事をかいた人

30代の助産師ブロガー。 高校を卒業するまで海外で過ごし、20代で丸の内OLや海外でボランティアを経験。海外ボランティア先で出会った助産師に衝撃を受け、30歳から助産師を目指すことに。現在は助産師として働き始め、妊娠中のママや赤ちゃんと向き合っています。 「女性が笑顔になれる社会を目指す!」を目標に、これまでの女子活や助産師の経験を活かし、お役に立てる情報をブログで発信しています。