「不妊」とは、妊娠を望む健康な男女が避妊をしないで性交をしているにもかかわらず、一定期間妊娠しないものをいいます。日本産科婦人科学会では、この「一定期間」について「1年というのが一般的である」と定義しています。
今回は女性ではなく、男性の妊活をテーマに妊活の方法についてお話していきます。
6組に1組のカップルが不妊症と言われている
日本のカップルは6組に1組が不妊症にあたると言われています。
不妊症と診断されたカップルが不妊治療を始めるとなると、不妊治療を行っている医療機関を受診し、段階を踏みながら治療を進めていくことになります。出産するまでの道のりはそれぞれなので、長い戦いになるかもしれません。もちろん段階に応じて費用もかかります。
ですので、自然に妊娠できればそれに越したことはないですよね。
男性の妊活って必要?
あなたは、不妊症の原因は女性にあると思っていませんか?
実は、不妊の原因は女性と男性では同等であることが分かっています。これまではカップルが妊娠できないと女性ばかりが責められる風潮がありましたが、それは大きな間違いであることが医学的に証明されています。
したがって、なかなか妊娠しないのは自分のせいだと、女性が自分を責めるのはよくありません。
妊活はカップルで行うものです。女性ばかりが頑張るものではありません。
男性にも同じように努力してもらい、妊活をすすめていきましょう。そのために妊活する上で男性に気をつけてほしいことをまとめてみました。
男性の妊活で絶対にしてはいけないこと
喫煙
妊活にタバコはよくありません。禁煙は女性だけでなく男性の生殖機能にも大きく影響するため、絶対にやめましょう。
喫煙によって精子の形成能力や精液の質を低下させます。そのほか、流産や子宮外妊娠のリスクが増加することや、勃起不全(ED)の原因にもなることが知られています。喫煙は卵子、精子、受精卵、胎児、そして赤ちゃんが生まれてきてからも悪影響を及ぼすということを考えましょう。禁煙外来を設置している病院も増えているので、一人で悩まず医者の手を借りてでもぜひ実施しましょう。
乱れた食生活
男性も女性も食生活には気をつける必要があります。
バランスのとれた健康的な食生活を送ることは、色々な意味で良いことです。もちろん精子形成にもプラスの影響があります。1日3食摂取することや、野菜やフルーツ、良質なタンパク質を摂ることはとても大切です。
妊活をする男性世代は働き盛りでしょうから、残業や接待などでなかなかバランスのとれた食事をとることは難しいと思います。しかし、不妊の原因は半分は男性にあるという現状を受け止め、食生活にしっかり目を向けるようにしましょう。
ラーメン、カレー、牛丼はカロリーばかり高く、栄養価は全く高くありません。そこにいくらセットのサラダが付いてもあまり意味はないです。ランチであれば、なるべく品数の多いもの、彩の良いものを選びましょう。夕飯で外食する場合にはなるべく野菜を多くとることと、油っこいものは避けるようにしましょう。
過度な飲酒
アルコールの飲み過ぎは妊活をしていなくても身体に悪影響を与えます。
しかし、妊活をしているなら尚更大切なことですね。アルコールの飲み過ぎはもちろん精子の質に悪影響を与えますし、勃起障害(ED)の原因にもなります。
仕事でストレスを抱えていたり、妊活が長引いてストレスに感じるようになると、飲酒でストレス発散をする人もいると思いますが、本気で妊活に臨むのであれば思い切って断酒という選択肢もありでしょう。
妊活をするのであれば男性も女性も飲み過ぎには注意しましょう。
必要以上に精子を溜める
男性の妊活でやってしまいがちなのが、精子を溜めるということです。これは妊活としては間違いです。
卵子は女性が生まれる前からできているものなので、年齢を重ねるごとに古くなるのに対し、精子は常に生成されているので精子を溜めても問題がないと思っている方がいます。
しかし、実際には禁欲期間があくことで、精子の質が悪化することが知られています。妊活中は週に1〜2回は射精をするようにして、常に新鮮な精子を準備しておきましょう。
精巣を温める
精子を生成する精巣は、実はとても熱に弱い臓器であるため、人間の体温より低い状態である必要があります。体内ではなく下垂した状態で保たれていることを考えると納得がいくと思います。そのため、精巣を温めないようにすることが大切です。
長風呂を控える
長時間のお風呂やサウナは同様の理由から精巣へのダメージは防げません。何分以内ならいいのか、という医学的な見解はありませんが、極力長風呂を控えるようにしましょう。
下着はトランクス推奨
下着はブリーフ派ですか?ボクサーパンツ派ですか?それともトランクス派ですか?
妊活をするのであれば、極力トランクスを履くようにお勧めします。風通りがよくなり、精巣の温度上昇を防ぐことができます。冬は特にスースーして無理、という方もいるかもしれませんが、慣れもありますので、一度試してみてください。
股間の圧迫や摩擦
通勤や趣味で自転車やバイクに乗る方もいるでしょう。サドルに長時間乗ることは会陰部を圧迫してしまうので、男性の妊活する上ではやめたほうがいいです。
適度な運動はもちろんいいことなのですが、自転車やバイクに乗りすぎることは禁物です。サドル先端部分により会陰部が圧迫されたり、肌に密着したトレーニングウェアで体温が上がったりすることが、生殖機能へ影響を及ぼす可能性があると言われています。
また長時間自転車に乗ることが勃起不全(ED)を招く可能性についても指摘されていますので、妊活中の方は注意しましょう。
育毛剤の使用
多くの育毛剤には、男性ホルモンを抑制するフィナステリドやデュタステリドという成分が含まれています。これらの成分は、精液量減少や勃起不全(ED)、性欲減退という副作用があります。また肝機能を低下させるという副作用もあります。妊活中であれば今すぐに育毛剤の使用は控えましょう。
妊活は女性だけなく男性も注意する必要がある
今回は男性が妊活をする上で絶対にしていけないことについてまとめてみました。
妊活は女性と男性の二人でするものという意識を高めて、妊活を心がけましょう。
努力をしても妊娠できにくいこともあるでしょう。1年以上努力しても妊娠しない場合は不妊症と診断されます。もし妊娠を望むのであれば、なるべく早いタイミングで不妊治療を始めることをおすすめします。